リース会計のハナシ

こんにちは、IT企業で経理をしている公認会計士ぱんのすけです。

勤務先でリース契約を扱うことがあったので、会計上のリース取引の考え方をまとめてみたいと思います。

 

目次

  • リース会計とは?
  • まとめ

リース会計とは?

 企業が固定資産を調達する場合、調達方法は2通り存在します。

①購入する

②リースする(借りる)

リースする理由は会社によりけりですが、キャッシュ・フローの平準化、維持管理業務の代行、固定資産税納付義務の転嫁等のメリットがあるため、固定資産そのものを購入せずに一定の月額リース料を払っていくリース取引を行うことが実務上あります。固定資産のサブスクだと思ってもらえればOKです。

リース会計がなぜ必要なのかを見ていく為に、①購入した場合と②リースした場合に分けて仕訳で見ていきましょう。

前提条件

  • 新しい製品製造のための機械を調達する必要がある
  • 手元の現金預金:100
  • 購入する場合の価格:100
  • リースする場合のリース料:20/年
  • 使用期間(リース期間):5年

①購入した場合

機械装置 100/現金預金 100

減価償却費 20/減価償却累計額 20(簡便的に5年定額法)

②リースした場合

リース料 20/現金預金 20

 

こんな感じですね。超ざっくりした設例なのでツッコミどころもあるかと思いますがご容赦ください(汗)

①と②の結果のBSとPLがこちらです。

①購入した場合

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②リースした場合

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ここで問題になるのが、機械装置を買った場合でもリースした場合でも、機械装置を使用しているという経済的実態が同じであるのにも関わらず、会計処理が異なってしまう、ということです。会計の基本的な考え方として、法的形式よりも経済的実態を会計処理に反映されるべきとされています。②の会計処理では、経済的実態が財務諸表にうまく反映できておらず、適切な会計処理とは言えない状態になっています。

そこで出てくるのがリース会計です。

リース会計では、固定資産相当をリース資産としてBSの資産の部に計上し、自己保有資産と同じように減価償却していきます。一方で、将来のリース料の支払義務をリース債務としてBSの負債の部に計上し、リース料の支払いと共に負債を取り崩していく処理を行います。仕訳のイメージは以下の通りです。

②’リースした場合(リース会計処理を行った場合)

リース資産 100/リース債務 100

減価償却費 20/減価償却累計額  20

リース債務 20/現金預金 20

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これだと、固定資産を購入した際と似たような財務諸表になっていますよね。購入した際の財務諸表と異なる点は、代金を最初に一括で支払う必要がないため、現金預金が多くなっている点と、その分の将来の支払い義務がリース債務として計上されている点です。こちらの方が企業の経済的実態を適切に表していると言えそうではないでしょうか。

注)今回は購入とリースの比較をわかりやすくするために設例を単純化していますが、実際のリース契約では、リース債務に対する利息の支払いが生じます。よって、購入に比べてリースの方がキャッシュ・フローが改善する代わりに、PLの利益が圧迫されることになります。

まとめ

今回のポイントは以下です。

会計では法的形式ではなく、経済的実態を重要視する。よって、固定資産をリースした場合には、購入した際と同じように固定資産をBSに載せる必要がある。

次回はリース会計についてさらに深ぼっていきたいと思います。